【パ】xFIPを用いた投手成績変動予測
ねらい
セイバーメトリクス指標のひとつにxFIPというものがあります。味方野手の守備力や運の要素を排除して投手成績を評価する指標で、防御率と比較して年度毎の変動が小さいことから次シーズンの成績予測に一定の成果が期待できます。本稿では、パ・リーグの主力投手について2019年シーズンのxFIPを防御率と比較し、2020年シーズンに成績が好転するのか、あるいは悪化するのか予測します。
セ・リーグ編はこちら
対象選手
パ・リーグ各球団の主力投手15~18名(退団した選手を除く)
西武
今井達也、髙橋光成、増田達至、松本航、多和田真三郎、十亀剣、平井克典、森脇亮介、榎田大樹、佐野泰雄、小川龍也、本田圭佑、ニール、平良海馬
大竹耕太郎、二保旭、加治屋蓮、東浜巨、武田翔太、甲斐野央、和田毅、高橋礼、椎野新、モイネロ、森唯斗、千賀滉大、松田遼馬、髙橋純平、嘉弥真新也、松本裕樹
松井裕樹、岸孝之、則本昂大、塩見貴洋、弓削隼人、ブセニッツ、青山浩二、宋家豪、菅原秀、森原康平、高梨雄平、辛島航、久保裕也、石橋良太、涌井秀章、酒居知史
ロッテ
佐々木千隼、石川歩、唐川侑己、東條大樹、東妻勇輔、松永昂大、西野勇士、小島和哉、岩下大輝、田中靖洋、チェン・グァンユウ、益田直也、種市篤暉、二木康太、美馬学、ハーマン
日本ハム
加藤貴之、上沢直之、有原航平、浦野博司、金子弌大、上原健太、宮西尚生、井口和朋、堀瑞輝、西村天裕、秋吉亮、ロドリゲス、公文克彦、石川直也、玉井大翔、杉浦稔大
オリックス
山﨑福也、山岡泰輔、吉田一将、荒西祐大、増井浩俊、近藤大亮、竹安大知、アルバース、田嶋大樹、Kー鈴木、ディクソン、比嘉幹貴、山本由伸、海田智行、澤田圭佑、山田修義、榊原翼、張奕
xFIP
計算式および指標の説明は以下のリンクをご参照ください。
なお、外野フライ数ではなくフライ数を用いました。
フライに占める本塁打の割合は6.72%、定数は2.93です。
分析結果
セ・リーグの対象選手も含めて線形近似を行ったところ、xFIPと防御率の間に一定の正の相関が認められました。
各選手について得られた数式とxFIPから推定防御率(理論上の防御率)を算出しました。2019年の防御率との差を推定防御率で除することで2020年の成績変動可能性を検討しました。つまり、”投球内容に相応しい防御率と実際の防御率との乖離”を実際の防御率の高低が与える影響を小さくなるようスケールしたパラメータです。数値が負なら成績好転、正なら成績悪化の可能性があると言え、0から離れているほどその可能性が大きいです。
西武
成績好転可能性大:多和田、榎田
成績好転可能性小:高橋、本田
成績悪化可能性小:小川、ニール
成績悪化可能性大:増田
ソフトバンク
成績好転可能性大:加治屋、東浜、甲斐野、松本
成績好転可能性小:武田、和田
成績悪化可能性小:高橋礼、椎野、森、高橋純平、嘉弥真
成績悪化可能性大:モイネロ
楽天
成績好転可能性大:涌井、酒居
成績好転可能性小:岸、弓削
成績悪化可能性小:青山、菅原
成績悪化可能性大:ブセニッツ、宋、森原、高梨
ロッテ
成績好転可能性大:唐川、二木
成績好転可能性小:東妻、小島、美馬
成績悪化可能性小:松永、田中
成績悪化可能性大:佐々木、益田
日本ハム
成績好転可能性大:浦野、上原
成績好転可能性小:堀、石川
成績悪化可能性小:有原、金子、秋吉
成績悪化可能性大:宮西、井口、玉井
オリックス
成績好転可能性大:荒西、増井、アルバース、比嘉、張奕
成績好転可能性小:山岡、竹安、澤田
成績悪化可能性小:榊原
成績悪化可能性大:山本、海田
増田(西武)、モイネロ(ソフトバンク)、ブセニッツ(楽天)、森原(楽天)、益田(ロッテ)、宮西(日本ハム)らパ・リーグを代表するリリーフ投手に成績悪化の可能性があります。各投手とも元の成績が優れているので成績悪化したところで防御率2点代中盤~3点代という予測ですが、試合終盤の得点は2019年よりも増えるかもしれません。
西武は中心選手であるニールや増田に悪化可能性があり、好転予想の多和田が不在かつ榎田も安定感を欠いている今季、より厳しい投手運用を強いられるかもしれません。今井・高橋・松本ら若手先発陣や新入団の宮川・ギャレットらの奮起に期待がかかります。
個人的な注目選手は、
好転では高橋(西武)、涌井(楽天)、小島(ロッテ)、
まとめ
パ・リーグ各球団の主力投手の成績変動予測を行いました。