【2019野手編】一軍成績と二軍成績との関係性を調査する
背景と目的
入団一年目から一軍で好成績を残して定着することができるプロ野球選手はほんの一握りであり、多くの選手が二軍で結果を残したのちに一軍昇格を果たすことになる。一軍で活躍できる選手を的確に抜擢するのは、球団のコーチやスタッフをしても困難な作業である。その困難な作業を遂行するための方法の一つとして、今後一軍で残すであろう成績を過去の二軍成績をもとに定量的に予測するというものを提案したい。本検証では、一軍および二軍両方で一定以上出場した選手の成績を分析することで、一軍成績と二軍成績との関係性を調査した。本稿では野手についての調査結果を記載する。
対象選手
2019年に一軍および二軍両方で100以上の打席に立った選手、計26人を対象とした。
左から、球団、背番号、名前、守備位置、開幕時年齢、年数
広 4 小窪 哲也 内野手 33 12年
広 51 小園 海斗 内野手 18 1年
広 96 メヒア 内野手 26 4年
ヤ 00 奥村 展征 内野手 23 6年
ヤ 8 中山 翔太 外野手 22 1年
ヤ 31 山崎晃大朗 外野手 25 4年
巨 33 ビヤヌエバ 内野手 27 1年
巨 51 田中 俊太 内野手 25 2年
巨 56 山本 泰寛 内野手 25 4年
巨 60 若林 晃弘 内野手 25 2年
De 1 桑原 将志 外野手 25 8年
De 3 梶谷 隆幸 外野手 30 13年
中 4 藤井 淳志 外野手 37 14年
中 42 アルモンテ 外野手 29 2年
阪 60 中谷 将大 外野手 26 9年
日 38 石井 一成 内野手 24 3年
日 45 平沼 翔太 内野手 21 4年
日 58 横尾 俊建 内野手 25 4年
オ 00 西浦 颯大 外野手 19 2年
オ 5 西野 真弘 内野手 28 5年
オ 6 宗 佑磨 外野手 22 5年
ロ 10 加藤 翔平 外野手 28 7年
ロ 13 平沢 大河 内野手 21 4年
ロ 42 バルガス 内野手 28 1年
楽 2 太田 光 捕手 22 1年
楽 9 オコエ瑠偉 外野手 21 4年
調査方法
以下の7つの項目について、一軍成績と二軍成績を用いて単回帰分析を行った。
打率、出塁率、長打率、四球率(BB%)、三振率(K%)、K/BB、XR27
※四球率は敬遠を除く
※XR27とは、その選手9人で打線を組んだ場合に1試合で何点取れるかを表す。総合的な得点創出能力を示す指標である。
参照:RCとXR - 野球関連指標まとめ
https://w.atwiki.jp/bbstats/pages/17.html
結果
項目ごとに図を示す。
単回帰分析の結果、決定係数が最も高かったのは三振率(K%)であった。三振率と四球率の商であるK/BBが続いて高かった。三振率は他の項目と違って二軍より一軍で低い数値を記録することが少なく、多くの選手において似た傾向であった(一軍でも二軍でも三振が多い、一軍では三振が多いが二軍では少ない、一軍でも二軍でも三振が少ない)。そのため比較的ばらつきが少なく、7項目の中では最も高い決定係数を示したものと考えられる。
一方、決定係数が最も低かったのはXR27であった。XR27は総合指標であるためそれ自体に説明変数が多く含んでいるためばらつきが大きくなったものと考えられる。
打率、出塁率、長打率、四球率に関しても同様で、打者自身の能力と同時に対戦投手の力量にも大きく左右される項目であるため相関関係を示さなかったことが窺える。
今回対象としたのは一軍二軍両方で100打席以上立った選手である。100打席という基準は不足ぎみであるので、他の年のサンプルを追加する、通算成績を用いるなどの改良が必要であるだろう。
まとめ
一軍成績と二軍成績との間において、三振率には一定の相関があることが示唆された。