【2019投手編】一軍成績と二軍成績との関係性を調査する
前回の野手編に続き、今回は投手についての調査結果を記載する。
本稿の前に野手編をご覧いただきたい。
対象選手
2019年に一軍および二軍両方で100以上の打者と対戦した投手、計65人を対象とした。
左から、球団、背番号、名前、開幕時年齢、年数
広 16 今村 猛 27 10年
広 19 野村 祐輔 29 8年
広 47 山口 翔 19 2年
広 48 アドゥワ誠 20 3年
広 66 遠藤 淳志 19 2年
ヤ 14 高梨 裕稔 27 6年
ヤ 17 清水 昇 22 1年
ヤ 26 坂本光士郎 24 1年
ヤ 28 ブキャナン 29 3年
ヤ 34 山田 大樹 30 13年
巨 12 髙橋 優貴 22 1年
巨 17 大竹 寛 35 18年
巨 28 田口 麗斗 23 6年
巨 45 今村 信貴 25 8年
巨 49 ヤングマン 29 2年
De 11 東 克樹 23 2年
De 15 井納 翔一 32 7年
De 16 大貫 晋一 25 1年
De 24 齋藤 俊介 25 2年
De 48 京山 将弥 20 3年
De 59 平良拳太郎 23 6年
De 94 笠井 崇正 24 3年
中 28 梅津 晃大 22 1年
中 29 山井 大介 40 18年
中 30 阿知羅拓馬 26 6年
中 43 三ツ間卓也 26 4年
中 46 鈴木 博志 22 2年
中 50 清水 達也 19 2年
中 59 山本 拓実 19 2年
神 17 岩貞 祐太 27 6年
神 21 岩田 稔 35 14年
神 29 髙橋 遥人 23 2年
神 36 浜地 真澄 20 3年
神 46 秋山 拓巳 27 10年
神 61 望月 惇志 21 4年
神 77 ガルシア 29 2年
西 17 松本 航 22 1年
西 28 森脇 亮介 26 1年
西 30 榎田 大樹 32 9年
西 45 本田 圭佑 25 4年
西 54 ニール 30 1年
ソ 10 大竹耕太郎 23 2年
ソ 13 二保 旭 28 11年
ソ 21 和田 毅 38 13年
ソ 66 松本 裕樹 22 5年
日 29 井口 和朋 25 4年
日 33 バーベイト 26 1年
オ 11 松葉 貴大 28 7年 ※
オ 14 吉田 一将 29 6年
オ 15 荒西 祐大 26 1年
オ 21 竹安 大知 24 4年
オ 30 K-鈴木 25 2年
オ 42 エップラー 26 1年
オ 98 張 奕 25 3年
ロ 11 佐々木千隼 24 3年
ロ 18 涌井 秀章 32 15年
ロ 34 土肥 星也 23 3年
ロ 43 小島 和哉 22 1年
ロ 48 中村 稔弥 22 1年
楽 20 安樂 智大 22 5年
楽 21 釜田 佳直 25 8年
楽 23 弓削 隼人 24 1年
楽 31 福井 優也 31 9年
楽 45 菅原 秀 24 3年
楽 60 古川 侑利 23 6年 ※
※シーズン途中にオリックスから中日に移籍した松葉投手、楽天から巨人に移籍した古川投手は前に所属していた球団での成績のみ用いた。
調査方法
以下の7つの項目について、一軍成績と二軍成績を用いて単回帰分析を行った。
防御率、奪三振率(K%)、与四球率(BB%)、K/BB、被本塁打率(被HR%)、FIP、WHIP
※奪三振率、与四球率、被本塁打率は9イニングあたりの数を表すのが通例であるが、打者編で用いた数値とスケールを統一するためパーセンテージ表記を用いた。
※FIPとはDIPS指標のひとつである。DIPSとは、味方野手の守備力の影響を受ける被安打を排除し、投手自身でコントロールできる奪三振、与四球、被本塁打を用いて投手を評価する方法。
結果
項目ごとに図を示す。
単回帰分析の結果、決定係数が最も高かったのは与四球率(BB%)であった。与四球率と奪三振率の商であるK/BBが続いて高かった。打者編における三振率と同じく、二軍より一軍で数値が良化することが少なく、多くの選手において似た傾向であったことが原因と考えられる。
奪三振率(K%)の決定係数は低かった。打者の三振率は一軍と二軍との間で相関がある、すなわち自身の力量に依存する傾向が見られた一方、投手の奪三振率は一軍と二軍との間で相関がほとんどない、すなわち対戦打者の能力によって変動する可能性が示唆された。二軍打者から高い奪三振率を誇る投手が複数いる中で、その投球が一軍打者からも三振を奪えるか否かは球種や球速をはじめとする様々な要因によって異なるのだろう。
防御率、被本塁打率(被HR%)、FIP、WHIPについては決定係数は低かった。これらも同様に対戦打者の能力によって変動が大きいため、一軍と二軍との間で相関を示さなかったものと推測される。
現状、投手の成績の良し悪しを評価するのに最もよく使われているのは防御率であろうが、決定係数は0.0011であり相関は無いと言って差し支えない。二軍から戦力を発掘するにあたって、防御率は参照するべきではないということが示された。
まとめ
一軍成績と二軍成績との間において、与四球率には一定の相関があることが示唆された。